5-0の次に0-2。「できるのに、やらない」に見えた横浜FCの現在地

試合後のピッチを見つめる横浜FC監督をイメージしたアイキャッチ画像 横浜FCノート

新潟を5-0で破った次の試合。

横浜FCはアウェイでいわきFCに0-2で敗れた。

スコアだけを並べれば、ずいぶん大きな落差に見える。

ただ、今回気になったのは「なぜ負けたのか」だけではなかった。

試合後、須藤大輔監督は「完敗です」と切り出した。

走ること。戦うこと。切り替え。ゴールへの執着心。

そのすべてで相手が上回っていたと認めたうえで、さらに強い言葉を続けている。

「彼らはできるんです」

「できるのに、やらない」

だから「はらわたが煮えくり返る」のだという。

新潟戦ではできた。

いわき戦ではできなかった。

この差こそ、今の横浜FCを見るうえで大事なのかもしれない。

強い試合ができることと、強いチームであること。

その二つは、まだ同じではない。

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この記事を書いた人|たつ

横浜FCを1999年から応援しているサポーター。

試合を追いながら感じたことを記事にしています。
戦術・採点ではなく、試合の違和感や変化、クラブを追う楽しさをサポーター目線で伝えています。

5-0の次の0-2

前節の新潟戦で、横浜FCは5得点を奪った。

ただ、あの試合を振り返った須藤監督は、大勝そのものに満足していたわけではなかった。

守備の強度、背後への対応、攻撃時のポジショニング。

横浜FCノートでは、それを「二つ目の壁」として見ていた。

5-0という数字の向こう側に、まだ越えなければならないものがある。

そんな試合だった。

そして迎えたいわき戦。

今度は0-2だった。

だからといって、新潟戦で見えたものが全部偽物だったとは思わない。

むしろ逆だ。

5-0でできたからこそ、なぜ次の試合でできなかったのかが気になる。

須藤監督自身、大勝したあとの試合が難しくなることは想定していたという。

公開トレーニングでも選手たちに伝えていた。

それでも防げなかった。

ここに今回の敗戦の重さがあるように思う。

「できるのに、やらない」

今回のコメントで最も残ったのは、この言葉だった。

「彼らはできるんです」

できないから怒っているのではない。

できると知っているから怒っている。

考えてみれば、これは百年構想リーグから須藤監督が繰り返してきたことともつながっている。

出力。

再現性。

次でもできるか。

10回中10回できるか。

表現は少しずつ違っても、見ているところはかなり一貫している。

一度素晴らしいプレーができることだけではない。

一度素晴らしい試合ができることだけでもない。

それを次でも出せるか。

調子が良くない日にも出せるか。

相手が自分たちの思い通りにさせてくれないときにも、最低限のものを出せるか。

そこまで含めて、須藤監督の言う「J1昇格」なのだろう。

だから監督は今回、「このように結果として出てしまっているチームが、『J1昇格』とは言えない」とまで言った。

厳しい。

ただ、その直後に「彼らはできる」と言っている。

私は、この二つはセットで受け取りたい。

できないチームに無理なものを要求しているのではない。

できるところまで来たチームに、それを続けることを要求している。

5-0の次の0-2。

その落差に、今越えなければならない壁が見えた気がする。

上手いだけでは勝てない

市川暉記のコメントも印象に残った。

「間違いなく自分たちのほうが上手いと思いますけど、上手いだけでは勝てない」

なかなか強い言葉だと思う。

ただ、試合を終えた本人がそう感じたのなら、今回の0-2を考える大きな手がかりになる。

須藤監督も「サッカーはロジカルだけでもダメですし、もちろんパッションだけでもダメ」と話している。

この二人の言葉はかなり近い。

横浜FCがやろうとしているサッカーには、ボールを動かすための技術も判断も必要になる。

でも、その土台にある球際で負ける。

走るところで遅れる。

セカンドボールを相手に拾われる。

そうなれば、その先にある「自分たちのサッカー」までたどり着けない。

ジョアン・パウロも「相手の土俵で勝って、自分たちのサッカーに持っていくところ」が欠けていたと振り返った。

ここが面白い。

自分たちのサッカーをするために、まず相手の土俵でも戦わなければならない。

いわきが強く出てくるなら、そこから逃げるのではなく、そこで勝ってから自分たちの場所へ試合を持っていく。

上手いだけでは勝てない。

しかし、気持ちだけでも勝てない。

その両方を求められているところに、今の横浜FCの難しさと面白さがある。

綺麗にやろうとした

もちろん、気持ちだけの問題でもなかった。

須藤監督は後ろからボールをつなぐことについて、「固執しすぎましたね」と認めている。

相手が前向きにプレスをかけてくる。

それなら背後を取ればいい。

相手を一度後ろ向きに走らせれば、自分たちが呼吸する時間も作れる。

ところが横浜FCは、左サイドなどで詰まりながらもつなぐことにこだわり、奪われ、再び相手に前向きで守備をさせてしまった。

攻撃でも同じだったようだ。

ゴールへ向かうより、横へのパスを選ぶ。

失うことを怖がる。

少し綺麗にやろうとする。

結果として相手の守備が整う時間を自分たちで作ってしまった。

ここで少し気になったことがある。

「自分たちのサッカーをすること」と「自分たちの形にこだわること」は、同じなのだろうか。

須藤監督自身が「固執しすぎた」と話したところを見ると、少なくとも今回は違ったのだと思う。

背後が空いているなら背後を使う。

前へ運べるなら1メートルでも2メートルでも前へ運ぶ。

相手を見ながら選択を変える。

自分たちのサッカーを貫くことは、同じやり方を繰り返すことではない。

そんなことも、この試合から見えた気がする。

下を向いた0-2

もう一つ、伊藤槙人のコメントに残った言葉がある。

0-2になったとき、

「みんな下を向くような雰囲気があった」

という。

そこで伊藤は、

「1点ずつ取り返すしかないぞ」

「切り替えて、とりあえず1点取りに行こう」

と周囲に声をかけた。

この試合を象徴する場面だったのかもしれない。

0-2になれば苦しい。

思うようにプレーできていなければ、なおさらだろう。

それでも試合は終わっていない。

まず1点。

そこから何が起きるかは分からない。

須藤監督が今回何度も口にした「ゴールへの執着心」は、シュートを打つ選手だけに求められるものではないのだと思う。

苦しいときに下を向かない。

もう一度前へ出る。

次の1点を取りにいく。

それもまた、ゴールへ向かう姿勢なのではないだろうか。

前節の記事では、伊藤槙人のプレーから守備の強度について考えた。

今回は、ピッチの中で声を出して前を向かせようとする姿が残った。

こういうところも、勝敗の数字だけを追っていると見落としてしまう。

強い試合と強いチーム

新潟に5-0で勝った。

いわきに0-2で負けた。

どちらも今の横浜FCだ。

だから私は、5-0だけを見て「強くなった」と言うのも、0-2だけを見て「ダメだった」と言うのも、少し違う気がしている。

大事なのは、この二つの試合の間にあるものなのだと思う。

できることは分かった。

次は、それをどれだけ繰り返せるか。

相手が変わっても。

試合展開が変わっても。

自分たちの調子が良くなくても。

それでも走る。

戦う。

切り替える。

そしてゴールへ向かう。

須藤監督が「J1昇格」という言葉を使って今回の敗戦を厳しく捉えた理由も、そこにあるのではないだろうか。

強い試合ができることと、強いチームであることは同じではない。

一度できたことを、次でもできる。

さらにその次でもできる。

その積み重ねが、須藤監督の描いているJ1昇格への道なのだと思う。

次はホーム。

監督は「この悔しさをしっかり脳裏に焼き付けて」と話した。

5-0のあとに0-2があった。

ならば、0-2のあとに何を見せるのか。

また一つ、次の試合を見る場所ができた。

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