3-1の大きな勝利。それでも横浜FCは「できた」で終わらない

ジュビロ磐田戦の3-1の勝利に歓喜する横浜FCサポーター 横浜FCノート

ジュビロ磐田に3-1。

まずは、素直に喜びたい。

開幕戦のテゲバジャーロ宮崎戦を勝利でスタートした横浜FCが、ホーム開幕戦でも勝った。

しかも舞台はMUFGスタジアム。

クラブ史上最多となる観客が集まった一戦で3得点を奪い、しっかりと勝利を届けた。

百年構想リーグでは、内容が結果になかなか結びつかない時期もあった。

それでも続けてきたものが、新しいシーズンの最初の2試合で勝利という形になっている。

だから今回は、まず勝ったことを喜びたい。

そのうえで須藤大輔監督の試合後コメントを読んでいると、やはりこの人はもう次を見ている。

3-1で勝っても、「できた」で話は終わらない。

むしろ、できたからこそ次に何を積み上げるのか。

磐田戦には、これまで横浜FCノートで追いかけてきたものが、少しずつ一本の線になって見えてきたように思う。

3-1の大きな勝利

1-0でも勝ちは勝ち。

それでも、3-1というスコアにはやはり気持ちが上がる。

開幕の宮崎戦ではシュートを放ちながら、なかなかゴールネットを揺らすことができなかった。

それでも私は、シュートを打たなければ得点には結びつかないという意味で、その数を前向きに見ていた。

そして磐田戦。

須藤監督は試合後、こう振り返っている。

「開幕戦はなかなかゴールネットを揺らすことができなかったですが、今日はしっかりネットを揺らすことができて、そこも開幕戦からの修正がしっかり効いていたと思います」

開幕戦で見えたものが、次の試合でひとつ結果になった。

これがうれしい。

単純に「3点取ったから攻撃が良かった」と評価したいわけではない。

前の試合でできなかったことが、次の試合ではできた。

そこに積み上がっている感じがある。

今季のテーマとして監督が挙げる「個で剥がす」プレーからPKを獲得し、コンビネーションからサイドの奥深くまで進んでクロスからゴールも生まれた。

監督がやろうとしていることと、実際にピッチで起きたこと。

その距離が少し近づいた試合だったように感じる。

だから3-1は、やっぱり大きな勝利だったと思う。

相手の土俵でも戦えた

もうひとつ、須藤監督のコメントで気になった言葉がある。

「その相手の土俵でも打ち勝つことができていたと思います」

磐田について監督は、球際の強さ、走ること、切り替えの速さを挙げていた。

そこで横浜FCも戦えた。

そのうえで、自分たちのボールを動かすプレーからゴールへ向かうこともできたという。

これは「自分たちのサッカーができた」という話だけとは少し違うように思う。

相手がいる。

ピッチ状況もある。

試合の流れも変わる。

今回は芝生が浮いているような状態で、ロングボールを思うように蹴れない場面もあったという。

そこで監督が話したのは、環境への不満ではなかった。

「環境や相手チームは変えられないですから、自分たちでアジャストしていく」。

相手を見ながら変える。

それでも、自分たちが積み上げてきたものまで手放すわけではない。

J1昇格を目指す長いシーズンを考えれば、いつも自分たちにとって都合のいい試合になるはずがない。

そんな試合でも勝つために何が必要なのか。

磐田戦の3-1には、そんな見方もできる気がする。

10人になってからの当たり前

3-1という気持ちのいいスコアだけでは終わらなかった。

一人少なくなるという難しい状況も生まれた。

そこで須藤監督が使ったのが、これまでにも何度も聞いてきたような言葉だった。

「やるべきことを全員が、当たり前を当たり前にやり続けた結果、PK以外の失点はせずに勝つことができました」

「当たり前を当たり前に」。

開幕前から追ってきた「凡事徹底」とも重なる。

一人少なくなれば、試合の前提そのものが変わる。

最初は4-4-1。

その後、時間の経過と状況を見ながら5-3-1へ変えた。

興味深かったのは、最初からただゴール前に人数を並べて守ったわけではなかったことだ。

4-4-1では、ボックス近辺ではなく、もうひとつ高い位置で前向きに守ろうとしていた。

ところがサイドハーフが深い位置まで下がる時間が増え、残り時間も少なくなったところでゴール近辺を守る形へ切り替えた。

私は専門的なシステムの良し悪しを語れるわけではない。

ただ、状況が変わったときに「いま何をするのか」が共有され、それを選手たちが実行していることは見ていて面白い。

百年構想リーグで何度も出てきた「ポジション」「再現性」「10回中10回」という言葉。

あれは決められた形を何度も繰り返すだけの話ではなかったのかもしれない。

状況を認知して、そのときに必要なことを当たり前にやる。

磐田戦では、その積み重ねも勝利につながった。

勝って生まれた修正点

ここからが、いかにも須藤監督らしい。

3-1で勝った。

3得点できた。

一人少なくなっても勝ち切った。

普通なら「良かった」でかなり話を終えられそうな試合だ。

ところが監督は、すぐに次の話を始める。

自陣のペナルティボックス内にボールが入れば、イレギュラーなことが起こる。

だったら、もっと遠いところで守備をしたい。

クロスを上げさせない。

上げられたとしても、前向きにボールへアタックできるポジションを取り続ける。

前半についても、ボールの出口をもっとスムーズにできたはずだと話している。

さらに後半についても、攻撃的に行けなかった時間を「次の修正ポイント」として挙げた。

勝った試合なのに、修正点が次々と出てくる。

でも、これは3-1を喜んでいないということではないと思う。

むしろ逆なのではないか。

できなかったことができた。

ならば、それを新しい基準にして、もう一段上を見る。

「できた」で終わらないから、積み上げになる。

開幕戦でネットを揺らせなかった。

磐田戦では3点を取った。

だったら次は、その攻撃を続けながら、もっと高い位置で守れるか。

こうして一試合ごとに基準そのものを上げていく。

それが須藤監督の言う「次が一番良いゲーム」なのだと思う。

次が大事を繰り返す

今回のコメントの中で、個人的に一番残ったのはここだった。

「だからこれを次に繋げる、次が大事になるというのを永遠に繰り返す作業で成長していくと思います」

横浜FCノートでは、百年構想リーグから須藤監督の言葉を追ってきた。

「出力」。

「ポジション」。

「再現性」。

「次でもできるか」。

「10回中10回」。

最初は、それぞれの言葉を拾いながら、この監督は何を見ているのだろうと考えていた。

今は少し違う。

それぞれが、同じ方向へつながっているように見える。

一度できたから終わりではない。

次でもできる。

さらに次でもできる。

できるようになったことを土台にして、新しい課題へ進む。

その繰り返しによってチームの基準を上げていく。

「J1昇格への道」と言えば、どうしても順位や勝ち点を見たくなる。

もちろん、それは大事だ。

でも、その数字の下で何が積み上がっているのかを見るのも、今季の横浜FCを追う面白さなのだと思う。

宮崎戦で勝った。

磐田戦でも勝った。

その事実は素直にうれしい。

そして2試合目には、1試合目とは違う「できた」があった。

次の山形戦では、また何が増えているのだろう。

新しい扉を開いた国立

そして今回は、ピッチの中だけではなかった。

MUFGスタジアムにクラブ史上最多の観客が集まった。

須藤監督は、この国立開催を「非常に大きなチャレンジ」と表現している。

百年構想リーグから「新たな歴史の扉を開きたい」と挑戦してきた。

現場だけではなく、クラブスタッフ、地域、スポンサーも含めて、新しいことにチャレンジする。

その結果として大観衆が集まり、その前でチームも3-1で勝った。

これは、やっぱり喜んでいい。

いや、今回はちゃんと喜びたい。

「魅了して勝つ」。

監督が試合前から取りに行こうとした二つのものが、大きな舞台でひとつの結果になった。

もちろん、これで何かを成し遂げたわけではない。

まだシーズンは始まったばかりだ。

監督も、すでに次の修正点をいくつも見つけている。

それでも、できたことまで小さく扱う必要はないと思う。

3-1で磐田に勝った。

クラブ史上最多の観客の前で勝った。

開幕から2つ勝った。

百年構想リーグから積み上げてきたものが、少しずつ結果にもつながり始めている。

その喜びをしっかり味わったうえで、次を見る。

「できた」で終わらない。

でも、「できた」はちゃんと喜ぶ。

そんなふうに今季の横浜FCを追っていくのも、なかなか楽しい。

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