「もう通り越してるよ」を見せられるか。山形戦で確かめたい横浜FCの現在地

ゴール前からラインを押し上げて前方へ進む横浜FCの選手たち 横浜FCノート

開幕2連勝。

テゲバジャーロ宮崎との開幕戦を勝ち、続くジュビロ磐田戦では3-1。

磐田戦は3点を奪っただけでなく、10人になってからの難しい時間も守り切った。

ホーム開幕戦、それもMUFGスタジアムという舞台でつかんだ勝利だったのだから、まずは素直に喜びたい。

前回の記事では、そんな気持ちで試合を振り返った。

ただ、次の試合が近づけば、また違うものが見えてくる。

須藤大輔監督が磐田戦後に見ていたのは、2連勝という結果だけではなかった。

「今が良いから良い、ではなくて」

むしろ勝っている今だからこそ、小さな原因を見逃さない。

そして次の相手はモンテディオ山形。

百年構想リーグで横浜FCが二度敗れた相手である。

須藤監督はその山形戦を前に、こんな言葉を残している。

「もう我々はそういうところは通り越してるよ」

開幕3連勝が懸かる試合。

でも今回は、その数字とは少し違うところにも注目してみたい。

百年構想リーグで見えていた横浜FCの課題を、今のチームは本当に通り越しているのか。

山形戦は、その現在地を確かめる試合になりそうだ。

連勝の中にある小さな原因

2連勝という結果だけを見れば、順調なスタートと言っていい。

それでも須藤監督は、かなり冷静に現在地を見ている。

宮崎戦にも攻め込まれる時間があった。

磐田戦では10人になってからだけではなく、その前から自陣深くで守る時間が増えていた。

監督は、そうした流れには必ず「些細な原因」があると話している。

小さな原因が大きくなれば、やがて失点や敗戦につながる。

だから、「今が良いから良い、ではなくて」となる。

この考え方は、百年構想リーグから追ってきた須藤監督の言葉ともつながっているように感じる。

「次でもできるか」

「10回中10回」

良いプレーが一度できたことより、それを繰り返せること。

結果が出たことより、次も同じように結果へ近づけること。

百年構想リーグでは、そんな「再現性」を何度も求めていた。

今は2連勝している。

だからといって、その考え方が変わったわけではない。

むしろ勝てるようになった今だからこそ、勝利の中に残っている小さな原因を摘んでいく。

「勝ちながら修正していくという良いサイクル」

須藤監督のこの言葉には、現在の横浜FCが次の段階へ進み始めていることが表れているように思う。

耐える時間を短くする

磐田戦で印象に残ったものの一つが、10人になってからの戦いだった。

身体を投げ出してシュートを防ぐ。

最後まで戻る。

相手陣地へボールを運び、少しでも時計を進める。

勝つために必要なことを選手たちはやっていた。

見ている側からすれば、「よく耐えた」と言いたくなる時間だった。

須藤監督も、その部分は認めている。

その先に出てきた言葉が興味深い。

「耐える時間はある。ただ、その耐える時間を極力短くしていきたい」

耐えられたから、それでいいわけではない。

そもそもゴール前で耐え続ける時間を減らしたい。

リトリートよりミドル。

ミドルよりハイ。

全部の時間で前から奪いに行けるわけではない。

それでも、できるだけ自分たちのゴールから遠い場所で相手を止めたい。

須藤監督が目指しているのは、上手に耐え続けるチームではなく、耐えなければならない場所そのものを少しずつ前へ動かしていくチームなのだと思う。

そして監督は、さらに大きなところを見ている。

「我々がやりたいのは相手陣地で90分ゲームをコントロールすること」

もちろん、それを90分間実現するのは簡単ではない。

相手もいる。

試合の流れもある。

それでも目指す場所を下げない。

2連勝した今も、そこは変わっていない。

1メートルを上げる

今回のコメントで、気になった数字がある。

「1メートル」と「5メートル」だ。

たとえ[5-3-1]で守っていても、ボールが下がった瞬間には1メートルでも前へ出る。

相手を背後へ走らせることで、5メートルでもラインを上げる。

苦しい時間だからといって、その場所に居続けない。

ほんの少しでもゴールから遠ざかる。

百年構想リーグで何度も聞いた「10回中10回」という言葉もそうだったが、須藤監督の話には時々、こうした具体的な数字が出てくる。

1メートルだけなら、試合全体から見れば小さな違いかもしれない。

でも、その小さな違いを繰り返せるかどうか。

冒頭で監督が話していた「些細な原因」とも、どこかつながっているように感じる。

小さな原因を放置すれば、大きな問題になる。

ならば反対に、小さな修正を積み重ねれば、大きな問題になる前に流れを変えられるかもしれない。

苦しいから耐える。

それだけではなく、苦しい中でも1メートル前へ出る。

今季の横浜FCを見るとき、そんな小さな動きにも少し目を向けてみたくなった。

岩崎亮佑が見せたもの

そしてもう一つ、今回の須藤監督のコメントで横浜FCノートとして残しておきたい話があった。

岩崎亮佑についての言葉だ。

磐田戦終盤、岩崎は身体を張ってボールをキープしていた。

華やかなプレーではない。

けれど、10人でリードを守っているチームにとって、その数秒は大きい。

須藤監督は、岩崎について犠牲になるランニングや守備で何度も追うことにも触れた。

「1回追って、2回追って、3回追う」

そして、そうしたプレーを「我々もしっかり見ています」と話している。

このあとの言葉が、特に印象に残った。

「そこまで見てもらえたらもっとサッカーが面白くなる」

これは、このブログで試合を見ながら探してきたものにも近い気がする。

得点した選手。

アシストした選手。

決定的なシュートを止めた選手。

もちろん、そうした分かりやすいプレーを見るのもサッカーの楽しさだ。

でも、その少し外側にも試合を動かしているものがある。

誰かのために走る。

一度追って終わらず、もう一度追う。

苦しい時間に身体を張ってボールを残す。

そういうところまで見えてくると、一つの試合から拾えるものはもっと増える。

今季の横浜FCを見る楽しみが、また一つ増えた気がした。

それぞれの開幕

須藤監督は、もし磐田戦が11人対11人のまま進んでいれば、もっと多くの選手をピッチへ送り出したかったとも話している。

その理由を、「早くそれぞれの開幕を迎えさせてあげたかった」と表現した。

リーグの開幕日は一つしかない。

でも、選手一人ひとりにとっての開幕は同じ日ではない。

ピッチに立って初めてシーズンが始まったと感じる選手もいるのだろう。

次の山形戦では、岩武克弥が出場できない。

一つの枠が空く。

さらに山形戦のあとには天皇杯があり、その翌週にはルヴァンカップも始まる。

そこで新たに「開幕」を迎える選手も出てくるはずだ。

J1昇格を目指す長いシーズンを、11人だけで戦うことはできない。

須藤監督自身も、累積警告、怪我、コンディション不良などを挙げながら「絶対に11人だけでは戦えない」と話している。

だからカップ戦も、単なる控え組のアピールの場ではないのだと思う。

試合に出る。

自信をつける。

成長する。

そして、その力が再びリーグ戦へ戻ってくる。

J1昇格を第一に置きながら、天皇杯もルヴァンカップも狙う。

これから始まる連戦は、横浜FCというチーム全体の厚みを見る時間にもなりそうだ。

「通り越した」を確かめる

そして山形戦。

百年構想リーグでは、モンテディオ山形に二度敗れた。

須藤監督は、その2試合についてかなりはっきり振り返っている。

押し込んでいても、一発のピンチから失点する。

自分たちの時間を作っていても、それを結果へ結びつけられない。

監督自身が「百年構想リーグでの悪いところが全部出た試合」と表現するほどだった。

だからこそ、今回の山形戦を前にしたこの言葉が気になる。

「もう我々はそういうところは通り越してるよ」

百年構想リーグの頃、須藤監督のコメントを追いながら、「この監督は何を見ているのだろう」と考えてきた。

出力、ポジション、再現性。

次でもできるか。

10回中10回。

少しずつ拾ってきた言葉は、今の横浜FCへ一本の線としてつながり始めている。

宮崎戦では苦しい時間を乗り越えて勝った。

磐田戦では3点を奪い、10人になったあとも勝利を手放さなかった。

それでも監督は満足せず、その中にある小さな原因を探している。

次は、百年構想リーグで二度その課題を突きつけられた山形が相手になる。

開幕3連勝が懸かる試合。

もちろん、勝てばうれしい。

でも今回は、その数字とは別に見てみたいものがある。

あの頃できなかったことを、今はできるのか。

苦しい時間を短くできるのか。

一発のピンチに試合をひっくり返されず、自分たちの時間をもう一度取り戻せるのか。

「もう我々はそういうところは通り越してるよ」

その言葉をピッチの上で確かめる。

そんな山形戦になりそうだ。

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