保持率70%の違和感

ピッチを見つめながらメモを取るスーツ姿の監督。ボールを保持しながら前進できない試合の空気を見つめる横浜FCのベンチ視点 横浜FCノート

栃木SC戦後の須藤監督のコメントを読んでいて、何度も繰り返されていた言葉があった。

「認知」
「立ち位置」
「どこから来るか」
「どこが空くか」

単なる技術論ではない。

“相手が何を嫌がるかを見つけ続ける”

そんなサッカーを、少しずつ形にしようとしていることが伝わってきた。

そして今回の試合は、その輪郭が少し見えた試合でもあり、まだ足りない部分もはっきり浮かび上がった試合だったのかもしれない。

70%の前半

数字だけ見ると、横浜FCはかなりボールを持っていた。

前半は70%近い保持率。

試合全体でも60%以上。

けれど監督は、その数字をほとんど評価していない。

むしろ、「持っているだけになっていた」「アタッキングサードへ入れていない」「相手が怖がっていなかった」という話を繰り返している。

ここが今回、とても印象的だった。

以前なら、“保持できた”“主導権を握った”で整理されていたかもしれない試合。

須藤監督は「どこを壊せたか」で見ている。

ボールを持っているのに、怖くない。

つまりそれは、攻めていない裏返しで安全を保っていた。

そんな90分だったのかもしれない。

空いている場所

今回かなり印象に残ったのが、「空いているスペースはいっぱいあった」という言葉だった。

ただ、そこに立てなかった。

見逃していた。

監督はずっと、相手のプレッシャーを見ながら、どこが空くのかを認知する話をしている。

つまり、サッカーを「配置」で見ている。

誰が引き出すのか。

誰がずらすのか。

どこに立てば次が前向きになるのか。

その共有が噛み合った時だけ、ボールが循環する。

逆に少しズレるだけで、保持していても苦しくなる。

今回のコメントは、その輪郭がかなりはっきりしていた。

勝負の前に

監督が何度も口にしていたのが、「勝負しようとしてしまった」という部分だった。

テンポ良く循環させればいい場面で、勝負のパスを出して失う。

その結果、相手のリズムになる。

ここも今の横浜FCらしいテーマに見える。

“前へ急ぐ”というより、“相手が嫌がる状態を作り続ける”ことを目指している。

だから今回のコメントでも、

・無理にやらない
・失わない
・立ち位置を取る
・循環させる

という話が非常に多かった。

同時に監督は、「持つだけではダメ」ともはっきり言っている。

保持は目的ではない。

相手を動かし、怖がらせるための準備。

そこまで含めて、監督の見ているものが見えてきたように思う。

守備の整理

一方で、守備についてはかなり整理されてきた印象もあった。

ゴール幅。

インサイドの管理。

クロス対応。

寄せる位置。

最近の失点傾向に対して、かなり修正が入っていることがコメントから伝わってくる。

実際、以前なら崩れていた場面を、今回は耐え切った印象に思う。

ただ、監督が本当にやりたいのは、守ることではない。

「相手陣で奪う」

「ショートカウンターで終わる」

そこへつなげるための守備だ。

だから今回のコメントでも、守備を固めた安心感より、

“もっと前で終わらせたい”

という感覚のほうが強く残った。

ハーフタイム

岩崎莞佑選手を下げ、横山暁之選手を入れた交代についても、監督の考え方がよく出ていた。

「悪かったから代えた」ではない。

「何かを変える必要があった」という整理だった。

監督は交代そのものより、“循環がうまくいっていなかった”ことを問題として見ている。

個人ではなく、構造の問題として捉えている。

最近のコメントを見ていると、須藤監督はかなり一貫して、“配置”と“認知”の話をしている。

その視点が、少しずつチーム全体にも広がり始めているのかもしれない。

フィフティフィフティ

今回の試合について、監督は何度か「フィフティフィフティのゲーム」という表現を使っていた。

どちらへ転ぶか分からない試合。

その中で最後は、アダイウトン選手が決め切った。

ただ監督は、そこを“個人頼み”として語っていない。

「役割を全うした結果」と言っている。

個の力を期待していないわけではない。

むしろ、その個が生きるために、チーム全体の立ち位置や循環を整えようとしている。

次は仙台

次は首位・仙台戦。

監督コメントの中でも、かなり強く“リベンジ”という言葉が出ていた。

今回のコメントを読む限り、単純な気合いの話ではない。

・どこが空くのか
・どこに立つのか
・どこで失わないのか
・どこで前向きになるのか

その精度を、どこまで上げられるか。

須藤監督が見ているポイントは、かなりはっきりしてきた。

だから次の仙台戦は、結果だけではなく、「相手が嫌がる場所を取り続けられるか」

そこを見ると、かなり面白い試合になる気がしている。

今回の勝ち点3はシーズンを通せば大きい結果だ。

ただ、それがどんな試合においても発揮される、そんな内容を監督は想い描いているにちがいない。

思い出すのは➡決めるという言葉の重さ

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