「インプレッシブサッカー」の輪郭

最終節勝利後、プレーオフへ向けてタオルマフラーを掲げる横浜FCサポーターたち 横浜FCノート

EAST-Aリーグ最終節。

横浜FCは仙台を相手に完勝で締めくくった。

順位を見れば4位。

けれど試合後の須藤監督の言葉を読むと、そこには単なる「勝って終わった」ではない空気が残っている。

むしろこの試合は、ここまで積み上げてきたものが、ようやく一つの形として現れ始めた試合だったと言えるかもしれない。

次に待つのは、大宮アルディージャとのプレーオフラウンド一回戦。

これ以上ない相手だと思う。

ボールを動かす理由

今回のコメントで何度も出てきたのは、

  • 相手がどこから来るのか
  • どこが空くのか
  • 空いた場所へ勇気を持って入れる

という言葉だった。

須藤監督は以前から「ボールを動かす」ことを繰り返し語ってきた。

ただ、今回は少し違った。

「なぜ動かすのか」が、より具体的に見え始めている。

単に保持率を高めたいわけではない。

相手を動かし、空間を作り、その空間を使うためにボールを動かしている。

だから監督は、2-0になったあとにボールを失い始めたことを強く気にしていた。

「守る」よりも、「自分たちで持ち続ける」ことを選ぼうとしている。

それは「怖くない」が再現されることになるに違いない。

3点目を奪いに行く

印象的だったのは、後半の考え方だった。

リードしているチームなら、時間を使って逃げ切る選択もある。

けれど須藤監督は、「間違いなく3点目を奪いに行こうとした」と言い切った。

理由も非常に整理されている。

守備時間が長くなれば、相手はボックスに侵入してくる回数が増える。

事故的な失点も起こり得る。

だから一番の防御は、自分たちが攻撃している状態を維持すること。

この感覚は、最近少しずつ見えてきた「横浜FCらしさ」かもしれない。

ただ耐えるのではなく、自分たちで試合をコントロールし続けたい。

その輪郭が、かなりはっきりしてきた。

修正ポイント

もちろん監督自身も、完成したとはまったく思っていない。

押し込まれる時間帯。

失う場面の多さ。

後半のコントロール。

コメントの中には、まだ修正したい部分がかなり多く含まれていた。

ただ、それ以上に感じたのは、「修正点を持ちながら前へ進んでいる」という感覚だった。

「まだ分からない」ではなく、「どこを見ているのかが見えてきた」。

それが今の横浜FCにはある。

ハイプレスが行けない時はどうするのか。

ブロックをどう作るのか。

押し上げをどう構築するのか。

シーズン途中からの課題だった部分にも、少しずつ整理が入っている。

「次が大事」という姿勢

総括コメントの最後に残ったのは、「次が大事」という言葉だった。

最終節を完勝で終えたあとでも、監督はそこで区切ろうとしていない。

印象的なのは、その前に並んでいた言葉だった。

  • まだもっと良いサッカーができる
  • もっとボールを動かせる
  • もっと魅了できる

結果に満足するより先に、「もっとできる」が出てくる。

ここに、須藤監督の見ている方向が表れている気がした。

一試合勝ったから終わりではない。

一つ形になったから完成でもない。

次の試合で、また積み上げる。

その繰り返しの中で、サッカーを磨いていこうとしている。

シーズン序盤は、「やろうとしていること」が先にあって、試合がまだ追いついていない印象もあった。

けれど今は、試合の中に監督の考え方が見える時間が増えている。

だからこそ、「次が大事」という言葉も、単なる次戦への意識ではなく、

“満足せず積み上げ続ける”

という姿勢そのものに聞こえた。

その感覚は、これから先の一試合ごとにも、きっと続いていくのだと思う。

大宮という相手

そして、プレーオフラウンド一回戦の相手は大宮アルディージャ。

名前だけで空気が変わる相手だと思う。

歴史。

クラブ規模。

プレッシャー。

試合の熱量。

そのすべてが、これまでのリーグ戦とは少し違う。

けれど逆に言えば、ここまで積み上げてきたものが本当に通用するのかを試すには、これ以上ない舞台でもある。

須藤監督は最後に、「インプレッシブサッカー」という言葉を使った。

魅了できるサッカー。

ボールを動かす魅力。

自分たちで主導権を持つサッカー。

その言葉は、シーズン序盤よりも今の方が、ずっと具体的に聞こえる。

今回のコメントでは、「このサッカーで行く」という意思がかなり強く見えていた。

大宮戦は、単なる一発勝負ではなく、この数か月積み上げてきたものの“続き”として見たくなる。

試作を重ねた作品を世に出すような思いで。

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