結果だけを見れば、申し分のない勝利だったと思います。
アウェイで八戸を相手に2得点。そして失点はゼロ。
特に思い出すのは、やはり富山戦です。
3-1と2点をリードしながら、後半に2点を失って3-3。勝ち点3をつかみかけながら、最後まで試合を終わらせることができませんでした。
それからルヴァンカップの岐阜戦を挟んで迎えた八戸戦。
今度は2点のリードを最後まで守り、2-0で勝ち切りました。
これだけなら、「富山戦の反省を生かした試合だった」とまとめてもいいのかもしれません。
でも、試合後の須藤大輔監督の言葉を追っていると、どうもそれだけではなさそうです。
勝ち切れたことを評価しながら、すでにその先を見ていました。
2-0で終えた八戸戦
須藤監督がこの試合のテーマとして挙げたのは、「今何をすべきかの共有」でした。
富山戦、そして岐阜戦。
どちらも前半と後半で違う顔を見せた試合でした。
だから八戸戦では、90分を通して安定して戦うことを求めたといいます。
前半、横浜FCはすべてを思い通りに進められたわけではありません。
ビルドアップには良い時間も悪い時間もあり、先制したあとには少しチグハグさも出た。
それでも守備では、八戸に流れがある時間を耐え、前半終了間際には追加点を奪いました。
そして後半も失点せず、そのまま2-0。
富山戦でできなかったことを、今度はやり切りました。
監督自身も、「2-0で勝ったこと、クリーンシートでしっかり終われたことは、あの3-3の富山戦からの上積み」と話しています。
まず一つ、前の試合から持ってきたものを結果につなげることができた。
ここは素直に、この試合で見えた成長だったのだと思います。
「今何をすべきか」の共有
では、「今何をすべきか」とは何だったのでしょうか。
守備について監督が挙げたのは、「いつハイプレスに行くのか」「いつミドルブロックで構えるのかという判断でした。
常に前から奪いに行くわけでもない。
かといって、最初から引いて守るわけでもない。
試合の状況を見ながら、今は前へ出るのか、今は構えるのか。
その判断をチーム全体で揃えることです。
攻撃でも同じだったように感じます。
本来なら、後ろは最少人数にして前に人数をかけたい。
それでも相手のプレッシャーが強ければ、後ろに人数を割いてヘルプに入ってもいい。
自分たちがやりたい形だけにこだわるのではなく、その瞬間に必要なことを選ぶ。
そして、その選択を一人だけではなくチームで共有する。
後半に山田康太と横山暁之を投入した理由についても、監督は「ボールを動かすこと」にフォーカスしたと話しています。
富山戦と同じ62分の交代でした。
ただ、今回はその交代も含めて、「チームとして今何をすべきか」が明確になっていたと監督は振り返っています。
同じ時間帯に同じ選手を送り出しても、その試合で何をするのかが共有されているかどうか。
八戸戦では、そこに一つの違いがあったのかもしれません。
富山戦を誇張したハーフタイム
興味深かったのは、2-0で迎えたハーフタイムです。
須藤監督は選手たちに、富山戦のことを「誇張して伝えた」と話しています。
3-1から3-3。
あの試合を経験した直後です。
しかも八戸は、前へのベクトルを強く出してくる。
だからこそ、その勢いをどうやって「へし折るか」。
2点をリードしているから大丈夫ではなく、ここからが大事なのだと強く伝えたのでしょう。
結果として横浜FCは失点しませんでした。
富山戦では守れなかった2点のリードを、八戸戦では守り切った。
そう考えれば、ハーフタイムのメッセージは結果につながったことになります。
ところが監督は、それだけでは終わりませんでした。
その言葉が、「少し重すぎたのか」とも振り返っています。
勝ち切れた。でも固かった
後半の横浜FCについて、須藤監督は、「我々らしくない、固いゲームになった」と表現しました。
ここが今回、いちばん気になったところです。
富山戦と同じことを繰り返してはいけない。
2点のリードを守らなければいけない。
その意識は必要だったはずです。
実際、それがクリーンシートという結果にもつながりました。
でも、失敗しないことを意識するあまり、自分たちらしさまで少し失ってしまった。
だから監督は、勝ったことを喜びながらも、すべてが良かったとは言わなかったのでしょう。
これは少し面白い話です。
富山戦では、3-1から3-3になったことが課題になりました。
八戸戦では、その課題を修正して2-0で終えることができた。
それでも、また新しい課題が見つかった。
一つできるようになったら、それで完成ではない。
できたからこそ、次に求めるものが変わっていく。
須藤監督が言う「基準を上げる」とは、こういうことなのかもしれません。
2-0ではなく3-0へ
では、八戸戦で次に求められたものは何だったのでしょうか。
監督の言葉には、かなりはっきりと表れています。
相手陣でボールを保持できる時間帯にシュートで終わること。
そして、追加点を奪って3-0にすること。
須藤監督は、それが「強いチーム」だと話しました。
ここで富山戦と八戸戦を並べると、横浜FCが今どこにいるのかが少し見えてくる気がします。
富山戦では、3-1を3-3にしてしまった。
八戸戦では、2-0を2-0のまま終えることができた。
ならば次は、2-0を3-0にできるか。
守り切れるようになったから、今度は守りながらもう一度前へ出ることが求められる。
これは単に「もっと点を取ってほしい」という話ではないと思います。
試合の状況をコントロールしながら、それでも自分たちから勝負を決めにいけるか。
J1昇格を目指して上へ行くためには、そういう試合を増やしていかなければならないのでしょう。
2-0という結果は十分です。
でも、その2-0を見て3-0の可能性を考えている。
今回の須藤監督の視線は、そこにあったように感じました。
勝ちから「負け以上のもの」を
試合後、須藤監督はこんな言葉を残しています。
「この勝ちからまた、負け以上のものを追求しないといけない」
富山戦で勝ち点2を失ったことは、当然悔しかったと思います。
監督自身も「もっと何か違うことができたんじゃないか」という思いを選手たちに伝えたと話しています。
そして、その悔しさから逃げずに向き合った結果が、八戸戦の2-0につながった。
では、勝った八戸戦から何を持って帰るのか。
ここからは、負けたから変えるのではありません。
勝った試合の中から改善点を見つけて、さらに基準を上げていくことになります。
最後に監督が繰り返した、
「もう一回勝てるように、もう一回勝てるように」
という言葉も印象に残りました。
一度勝つことではなく、その勝利を次の勝利につなげること。
3-1を3-3にしない。
2-0を2-0で終わらせる。
そして次は、2-0を3-0にする。
富山戦から八戸戦へ進んだ横浜FCは、また一つ次の基準を示されたように思います。
結果だけなら申し分のない2-0。
だからこそ、その勝利の中から次に直すところを探している。
J1昇格への道を考えれば、もしかすると、こういう勝った試合のあとに何を求めるのかが大切なのかもしれません。
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